南インドのケララ州フォートコーチンでは、ホームステイ風の宿に滞在し、毎日街歩きしたり仲良くなった人と飯食いながら会話したりと、まったりした生活をしていました。

 

玄関にある宿の共有スペースには、いつも宿泊者が集まりワイワイしています。

オーナーはいつもここでタバコ吸ってる。

基本的に宿にいなきゃけないから、WINというインドの安いタバコを1日2箱吸ってるらしいです。

俺は遠くない未来に肺ガンで死ぬだろう

とか言ってました。

 

さらに夜になると近所に住んでるオーナーの友人とかもやってきて宴会が始まります。

飯のつまみ合い。

オーナーの人柄もあってか、毎日のようにはじめましての人がやってくる。

若干カオス。

 

ところでインド人は友達をとても大切にしますよね。

日本ではあまり無いですが、インドでは男性同士が手をつないで歩いているのを毎日のように見ます。

仲良過ぎてそうなってしまうのです。

見ていてなかなか微笑ましいです。

自分が信用するものに対しては、とことんのめり込む純粋な人が多いのかもしれません。

 

カレーに飽きたんでスーパーで買ってきた食材でビーフトマトスパゲティをつくったりもしました。

これ、宿で仲良くなったフランス人にレシピ教わったんですが、少ない材料でつくれてめちゃめちゃ美味かったです。

今のところ、インドで食べた料理の中では最高でした。

ちなみに、クリスチャンだからか、オーナーやオーナーの友達のインド人も一緒にビーフ食ってました。

 

宿の仲間のために、ベーカリーでバースデーケーキも買ってきました。

 

これが宿の仲間のジュリー。

オーナーが猫好きで他にも何匹かいます。

ちなみに本日がジュリーの5歳の誕生日なのかどうかは不明です。

 

インド人は動物を可愛がっている人も多い気がします。

野犬とか猫とかを集めて世話している変な人をたまに見ます。

動物好きの人も、根が純粋な人が多いと思います。

 

 

あるピュアなインド人の恋愛

純粋といえば、フォートコーチンでは、何人か顔見知りで仲良くなったインド人がいましたが、その中で、レストランのスタッフをやっている気のいいやつがいました。

いつもどおり世間話していた最中、彼が突然、

そうだ、お前マキ(仮称)を知ってるか?

と僕に質問してきました。

マキさんなんて日本人たくさんいるけど友達?

 

詳しく聞くと、なんと彼がかつて付き合っていて、結婚の約束までしていた日本人の女性だそうです。

彼女が以前南インドで仕事をされていて、そのとき知り合ったとか。

しかし、両親の面倒をみなくてはならなくなったという理由で、1年ほど前に突然彼女が日本へ帰国してしまい、別れてしまったそう。

現在、FaceBookではブロックされて連絡が取れないので、彼女のアカウントを発見できれば代理でメッセージを送ってくれないかと頼まれました。

 

突然君が去ってしまってとても寂しい。

まだ僕は君のことを想っている。

せめて、連絡だけでもさせてくれないか。

 

こんなメッセージを彼はつくり、僕の手に託しました。

 

 

その後、フルネームや出身地で検索し、おそらくマキさんと思われるアカウントを発見。

過去にインドに滞在していた形跡もあるので、間違いないでしょう。

 

よし! とりあえず彼に知らせに・・・

 

 

といきたいところですが、いろいろ状況を考えて黙っておくことにしました。

 

  1. 親の面倒をみるために帰省
  2. FaceBookがブロック

 

まず、1は女性が突然いなくなるときによく使う方便です。

僕の勤めていた会社でも、派遣やアルバイトの女性が、何か言いたくない理由で仕事を辞める際によく使っていました。

そして2のアカウントブロックは、よほどじゃない限りしない気がします。

アカウントをブロックすると、FaceBook上でお互いが一切認識されなくなります。

別れる際に彼がしつこく迫ってしまったか、もしくは彼女の方が帰国してからの日本での近況を知らせたくないという背景があるはずです。

 

といった感じから下手に訳わからない日本人がマキさんに連絡してもマズイだろうと判断しました。

彼には悪いですが・・・

 

その夜、

僕が同じ立場だったら、彼女からそんな納得しがたいこと言われた瞬間にいろいろ推察して冷めちゃうけどね〜

なんて思いながらビールを飲んでましたが、いやいや、でもそもそも彼はとても純粋で、彼女のことを一生懸命信じようとしているんだと思い直しました。

そしてふと、自分もそういう純粋さを持っていた時代があったことを思い出しました。

今や他人の言うことなんて常に半信半疑で聞いてるくらいくたびれてしまった僕ですが、かつては何でも前向きに信じようとして行動していた頃もありました。

そういう、いわゆる若い精神をもっている人間が発するエネルギーには凄いものがあります。

彼は僕より全然年上なんですが、たぶん僕より遥かにピュアです。

そして常にエネルギー全開、元気に仕事していて、友達も多い。

 

 

インドという国に初めて行くと、その得体の知れないエネルギーに圧倒されます。

他の多くのアジアの発展途上国がもつ活気のある空気とはまた一線を画した迫力。

今まで何だかよく分からなかったですが、それは、多くの老若男女のインド人達が、彼のように、基本的にとても純粋な精神を持っていることに由来しているんじゃないかと思うようになりました。

僕が既に捨て去ってしまった純粋さを、大人になっても持ち続けている。

それがときとして、僕達外国人にとってうっとおしく思えたりもしますし、犯罪という歪んだ形で社会に発散されてしまうこともあります。

 

純粋さは、良い方向にも悪い方向にも、エネルギーの塊として放出されますからね。

大人より子供の方が分かりやすい下手な嘘をついたり、大人が想像しない残酷なことを平気ですることがあるように。

 

インドを旅していると、嘘をつく奴、態度が悪い奴、理解しがたいことをしてくる奴に、他国より”比較的”頻繁に遭遇します。

そして距離も近い。

日本的な感覚でいえば、うざいくらいの馴れ馴れしいコミュニケーションをとって来る人が多いです。

(当然、大人で紳士的なインド人もたくさんいます。)

 

それは、無垢な子供のような彼らのエネルギーがそうさせているのかもしれません。

インド人は見栄をはって平気で嘘をつくこともあれば、逆に他人の嘘を信じてしまう純粋さももっているのです。