こんにちは。

いよいよ中国の新疆ウイグル自治区から陸路で中央アジアのキルギスへ入ろうと思います。

なお、中国側からキルギスへ陸路国境越えする場合、

  1. イルケシュタム国境
  2. タシクルガン国境

と主に2つのルートがあります。

が、2については2017年5月現在、通過のためのパーミッションが必要で余計にお金がかかるそうなので、今回は1のルートで行くことに。

また、1についても、以前は

  • 乗り合いタクシー
  • 国際バス

と交通手段が複数あったらしいんですが、2017年5月現在国際バスは廃止されて存在しないため、自動的に乗り合いタクシーを使うことになりました。

 

結果、未だかつて経験したことがない、非常に複雑で時間がかかった国境越えとなってしまいましたが、後から考えるとなかなか面白かったので移動方法等を本記事でまとめてみます。

(細かく書いたので久々にかなり長い記事となりました。)

 

 

1.国境越えの流れ概要

宿泊していた宿(カシュガル・オールドタウン・ユースホステル)にて受付のスタッフに聞いたところ、こんな図をくれました。

 

上半分がイルケシュタム、下半分がタシクルガン国境に関するものです。

 

イルケシュタム国境ルートを地図で表すとこんな感じ。

かかった時間は僕達のケースを基準にしています。

スムーズに行けばもっと早く通過できると思います。

 

カシュガル

バスターミナルからウチャ行きの乗り合いタクシーの乗ります。

ガソリン入れたり検問があったりして結局2時間くらいかかりました。

 

↓ 約40km(1〜2時間・ウチャ手前で検問あり)

 

ウチャ(乌恰)

バスターミナルに到着します。

ここからイルケシュタム国境の入口まではタクシーで5分くらい。

でもここでちょっとトラブル(後述)があり、40分程度時間ロス。

国境の入口で中国側出国手続を済ませた後、ヒッチハイク的な感じで120km以上走行して実際のキルギスとの境界線まで行きます。

 

↓ 約120km(2時間・イミグレ+検問2箇所あり)

 

イルケシュタム(伊尔克什坦)国境

ようやく中国側からキルギスへ入ります。

境界線付近で車を乗り換えたらキルギス側のイミグレまではすぐ。

 

—– ここからキルギス —–

 

キルギス側入国手続を済ませて外に出ると、タチの悪そうなタクシードライバーが待ち構えています。

ドライバーと交渉したりヒッチハイクしたりして目的地へ移動。

 

↓ 約80km(1時間半・途中検問あり)

 

サリタシュ

山の中にある集落みたいなところ。

泊まることもできますが、基本シャワーとかは無く、ロッジみたいな感じです。

 

↓ 約180km(2時間半)

 

オシュ

キルギスではビシュケクに次いで大きな街。

僕達の場合は勢いでここまで行きました。

 

以下、各論的にご紹介します。

(時間は基本的に中国側時間)

 

2.カシュガルからウチャ(乌恰)

まずはカシュガルのバスターミナルまで行きましょう。

 

前回記事で紹介したカシュガルの地図です。

バスターミナルは鉄道駅から道路を挟んで向かい側にあります。

市街地からバスやタクシーなんかを使ってここまで行きます。

 

バスターミナル。

入る際の荷物検査でライター取られました。

飲料系は、危険物でないことを確認するためその場で一口飲むように言われます。

 

ウチャ(乌恰)行きはバスではなく乗り合いタクシーですが、チケットは窓口で買います。

 

カシュガル → ウチャまでのタクシー代: 一人33元(約534円)

 

一応定員の4人集まってから出発のようです。

僕の場合は、僕、一緒に国境を超える日本人旅人の方2名、ウチャまで用事で行くウイグル人の計4名。

 

おいおい絶対入んないよそりゃあ・・・

車小さいので荷物が多い人は注意してください。

 

なお、ウチャ手前で検問があり、パスポートチェック、荷物検査、顔写真撮影など面倒な手続があります。

ここで少し時間がかかります。

 

3.ウチャ(乌恰)から国境入口

10:00過ぎにカシュガルを出て12:00頃ウチャのバスターミナルに着きました。

ここから実際の国境まではだいぶ距離があるんですが、何故か国境の入口はすぐ近くにあります。

というわけでタクシーを捕まえてその入口まで行くことになります。

が、ここでトラブルが。

 

ウチャのバスターミナル。

道路をタクシーが走ってる気配が無かったのでバスターミナルの中に入り、スタッフに

イルケシュタム(伊尔克什坦)!

と行き先を告げるとスタッフの人がドライバーを集めて、

誰かこいつら連れてってくれる?

みたいな感じで交渉し出しました。

で、出てきた金額が、3人で400元(約6,482円)。

 

えぇ〜高過ぎでしょ??

って感じですが、こちらもよく分かっておらず、もしや直接国境付近まで連れて行ってもらえるのかとか思ってしまい乗車することに。

出発前にもう一度確認するも、ドライバーは言葉が通じず。

イルケシュタムに行くには何かパーミッションのようなものが必要なことをこちらに訴えかけてきます。

僕のパスポートを見て確認した後、結局よく分からないまま発信。

そして大通りからはずれた山道を30分くらい走り出し、途中の検問で公安に止められました。

ドライバーが公安と相談し始め、僕らはとりあえずパスポートを渡します。

英語を話せる人はほぼおらず、10人くらい人が集まってきて議論し始める。

何か不穏な空気が漂う。

しばらくすると公安の人が片言の英語で、

キルギスに行きたいのか?

と尋てきたので、そうだと答えるとまたパスポート持ったままどこかに確認しに行く。

そして数分後出た結論が、

Come back 20km, and go to Kyrgyz !

 

要するにこのルートでは先は行く事ができないので、いったん戻って正規の国境へ向かいなさいとのこと。

どうやらドライバーが勘違いし、国境付近にあるイルケシュタムという街に行こうとしていたみたいです。

ウイグル人の公安の人も笑いながら、

ウェルカム!

って言ってました。笑

 

で、ウチャまで戻って国境の入口で停車。

バスターミナルから超近くの場所でした。

ドライバーには一人20元(約324円)払いましたが、普通に行けば5元くらいの距離だと思います。

 

最初に

「伊尔克什坦口岸」=イルケシュタム国境

ってちゃんと紙に書いて確認したんだけどなあ・・・

 

で、この時点で13:30頃。

無駄に時間を使ってしまったことで、国境がお昼休憩の時間になってしまいました。

この国境は、夏期は13:00〜16:30まで閉まってるらしいです。

(確か冬季は12:30〜16:00)

国境のくせにランチタイムとは、しかも休憩時間長過ぎ。

面倒くせえ・・・

 

国境の警備スタッフに

飯でも食ってれば?

と言われたのでゲートのすぐ横にある食堂へ。

同じく国境越えするキルギス人らしきドライバー達が休憩していました。

珍しいのかみんな僕らに話しかけてきてキルギスのお菓子をくれたり一緒に写真撮ったり和気あいあいムードで3時間ほど待機。

このときの雰囲気がかなり旅っぽくていい感じだった。

 

売店もありお酒も売ってたので新疆ビールとやらをチビチビ飲んだり。

 

つまみにもらったキルギスのお菓子。

硬くて乳酸系の凄くすっぱいやつです。

 

 

4.中国側出国

16:30になったので国境突入。

ゲートのところでまたパスポートチェックがありました。

その後、警備員が走ってきたミニバンを停めると、ドライバーと交渉して、

これに乗っていけ

と指示されます。

ドライバーがキルギス側まで連れて行ってくれるようです。

(噂では、適当な車が無い場合、自力でヒッチハイクすることもあるとか。)

 

ひとまずは国境入口のゲートからすぐのところにある中国側イミグレまで行き、そこで出国手続を行います。

が、これがえらく時間がかかりました。

キルギス側へ越境するのが僕達3人とドイツ人のチャリダー2人しかいないのに、1時間くらいちんたら手続してました。

え、ここの国境の人達はみんな今日初めて仕事するの?

と思えるくらい遅いです。

 

17:30頃ようやく中国側イミグレを抜けました。

ここから先ほどのミニバンに乗り込み、キルギスへ向かいます。

ちなみに、料金は国境スタッフが決めているのか、一律一人100元(約1,620円)です。

 

30分くらい走ったところでまたもや検問、パスポートチェックがありました。

一体何回チェックするんだ・・・

しかもこれ、パスポート見ながらいちいち手書で台帳に記入するから、毎回時間かかるんですよね。

すごい非効率。

 

5.イルケシュタム(伊尔克什坦)国境内移動

この国境が長い長い・・・

 

というのは、ここは中国とキルギスのイミグレの間が、何故か

120km以上

あるという意味の分からない国境なんです。

でも景色は綺麗なんですよ。

 

途中家があり、学校なんかもありました。

もしかしてここがイルケシュタムの街なんでしょうかね・・・?

イミグレの間に街があるって何とも不思議。

 

2時間くらい走りイルケシュタム峠を越えていきます。

徐々に雪がかかった山が見えてきます。

キルギスイミグレ手前辺りで見える風景は圧巻です。

 

6.キルギス側入国

19:50頃、国境線手前にある最後の中国側検問を抜けた辺りで、車を下されました。

ここから先はキルギス側から迎えが来るとのこと。

少し待っているとライフルを持ったいかついキルギス軍人とおっさんが車でやって来てキルギス側イミグレまで連れて行かれます。

乗車代金はチップっぽい感じでしたが、一人30元(約486円)払いました。

でも乗ってみたらイミグレまで超近く、歩いていけるレベルの距離でちょっとむかつきました。

この後のキルギス側イミグレの手続は超早かったです。

荷物検査もありませんでした。

キルギス入国時点で20:00を過ぎていました。

(実際には時差2時間なのでキルギス時間で18:00)

日付変わるまでに街まで着くかな・・・

 

 

7.国境から一気にオシュへ

ここからとりあえず宿があるサリタシュか更に先のオシュという街まで行かなければなりません。

一方、サリタシュは山の中にある村で、標高が高く寒く、シャワーとかもないロッジのような場所です。

なるべく一気にオシュまで行ってしまいたいものです。

 

国境を抜けると待ち構えていたタクシードライバー達が一斉に声をかけてきます。

オシュまで100USDだ!

サリタシュなら40USDだ!

露骨にぼってくるのでむかつきます。

交渉も英語が通じないので難しい。

 

うっとおしいので無視してとりあえず先に歩いて行くことにしてみました。

この辺り、両替所やら食堂やらが多少あるのかと思ってたのですが、何もありません。

想定していた状況とかなり違います。

 

そんで歩いているとHOTELと書かれたかなり怪しいトレーラーハウスがあり、おばちゃんがロシア語で声をかけて来ました。

言われたことを翻訳してみると、

明日の朝オシュ行きの乗り合いが来るからここに泊まってけ

って言っているようです。

さすがにこんな超狭いトレーラーハウスに3人泊まるのは意味が分からないしちょっときついです。

キルギスの通貨も持ってないし。

標高高いからかなり寒いし。

 

その後もおばちゃんがロシア語でずっと何か言ってきますが、

もう意味分かんないですよ、何でそんな必死なんですか?

と道路脇に立ってヒッチハイクを試みることに。

しかし国境を抜けた時間が遅過ぎたのか全然車が走っていません。

通りかかった1台の車のドライバーに相談するも、オシュまでは行かずサリタシュまでで40USDだとのこと。

 

うーんどうしたものか・・・

と思ってると、先ほどのタクシードライバー達がニヤニヤしながら追いかけてきました。

今度は、

オシュまで3人で80USDだ!

と値下げしてきました。

 

これ以上の交渉も難しそうだし、徐々に暗くなってきたので、腹たつけどこれで妥協してオシュまで行くことに。

ただ、カシュガルの宿でもらった紙にシェアタクシーでオシュまで一人25USDって書いてあるのでこれくらいが相場なのかもしれません。

この時点で21:00。

 

こんな雪山に囲まれた道路をひたすら走ります。

他に車も全然走っておらず、こんなところ全荷物担いで歩きながらヒッチハイクするのは無謀でしたね。

 

のどかな風景です。

途中、パスポートチェックが1回ありました。

 

で、タイヤが盛大にパンク。

ちなみにこの少し前にドライバーが途中で知り合いっぽい民家に寄ってタイヤと交換器具を借りてました。

こいつあらかじめパンクしそうなの分かってたんじゃないかな・・・

 

その後も、運転中に僕にタバコくれって言ってきたり、ガソリンが切れそうになって補充しようとするも金持ってないから貸してくれとせびってきたり、このドライバーはかなり駄目なやつでした。

僕も疲れてたのでイライラが限界まできて、

いいから早く行かんかい!

と日本語でまくしたてます。

 

そんなこんなで中国時間で1:00過ぎ(キルギス時間23:00)ようやくオシュに到着。

途中時間ロスしまくまりましたが、何とかその日のうちに辿り着くことができて良かったです。

なお、途中ガソリン代を5USDで払ってお釣りをキルギスソムでもらい、タクシー代金を4,800ソム(約70USD)で払った(ドライバーが急にソムが欲しいと言ってきたので)ため、合計75USDとなりました。

となると、やはり国境からオシュまでの相場は一人25USDくらいでしょうか・・・?

 

しかし

本当に、とてもとても長い1日でした。

移動の分かりづらさや検問の多さなど、僕が今まで経験した陸路国境越えの中でも確実にトップクラスの難易度だったと思います。

 

8.注意点

このイルケシュタム国境を越えるときの最大の注意点が、国境のお昼休憩です。

道中検問が多いことに加え、これにはまると途中でひたすら待機しなきゃいけないことになり、大きく時間をロスします。

できる限り朝早くカシュガルを出て、午前中には中国側のイミグレを出てしまいましょう。

ただ、キルギス側もお昼休憩があり、そこではまってしまう人も多いようなので気をつけてください。

とにかく中国側の国境係員の仕事が驚異的に遅い。

 

また、移動手段については基本乗り合いタクシーになります。

なるべく仲間を見つけて、複数人で越えることをおすすめします。