まとめ記事でございます。

 

インドの旅といえば鉄道の旅。

鉄道を使いこなせなければ広大なインドを旅することはできません。

ところがこのインドの長距離鉄道、仕組みが非常に分かりづらく、慣れないうちはチケットを買うだけでも大変な苦労をします。

代理店を利用してもいいですが、高い手数料を取られたり、挙げ句の果てに悪質なところだと変なツアーを組まされたりするリスクがあります。

ローコストかつ自由に旅するためにも、独力でチケットをおさえるスキルを早めに身に付けたいものです。

そんなわけで、インドの長距離鉄道のチケットの購入から乗車までの流れをまとめてみます。

(内容が濃いので長い記事になってしまいました・・・)

 

 

1.基本知識

チケット枠

・一般枠

普通の大多数のインド人達と同じ枠。

すぐ埋まる。

・外国人枠

外国人専用の予約枠。

インド人は原則利用できない。

・緊急枠(Tatkal)

乗車日前日の朝から売りに出され、一般枠、外国人枠が既に埋まっていてもこの枠を利用して席を確保することができる。

 

これらのうち、外国人枠とTatkalについては、窓口か旅行代理店を通さないと買うことができません。

 

 

次に、チケット購入時に必要となってくる基本的な情報を列挙します。

窓口での購入申込用紙やネット上の入力フォームに、これらの情報を入れていかないといけないので、内容を確実に覚えましょう。

 

列車の基本情報

・Train No.

列車の番号。

・Train Name

列車の名前。

「〜Express」だとか駅名が付いていることが多い。

 

これらの情報は時刻表、ネット上で簡単に調べることができます。

 

 

列車のクラス(Class)

・AC First Class(1A)

1等寝台。

エアコン付きコンパートメント(個室)に2段ベッドが1〜2台。

・AC 2 Tire(2A)

2等寝台。

エアコン付きコンパートメントに2段ベッドが2台。

・AC 3 Tire(3A)

3等寝台。

エアコン付きコンパートメントに3段ベッドが2台と、通路側に2段ベッドが1台。

・Sleeper(SL)

エアコン無しコンパートメントに3段ベッドが2台と、通路側に2段ベッドが1台。

・Second Sitting(2s)

エアコン無しのベンチ座席。

予約無しでも乗れる超カオスなやつ。

素人にはおすすめできない。

・Exec. Chair Car(EC)

エアコン付きリクライニングシート座席。

確か極一部の路線のみに使用されている。

・AC Chair Car(AC)

エアコン付きリクライニングシート座席。

 

値段は上のクラスになるごとに2〜3倍くらい高くなっていきます。

そしてこのうち、おそらくバックパッカーの多くが利用するであろうクラスが、3AとSL。

寝台のうち最も人気があるのがSL。

 

寝台列車の座席の種類(Berth)

・Upper

3(2)段ベッドの一番上。

・Middle

3段ベッドの真ん中。

日中は折りたたまれている。

・Lower

3(2)段ベッドの一番下。

日中はベンチとしてみんなが座る。

・Side Upper

通路側2段ベッドの上。

・Side Lower

通路側2段ベッドの下。

 

 

 

なお、チケットが予約(購入)完了されると、上記の情報に加え、Coach No.(車両番号)が割り当てられます。

しかし、中には予約はできたけど、「WL〜」となっていて、車両番号や座席番号がチケットに記載されていないケースがあります。

これはウェイティングリストの略なんですが、これがまた厄介なんです・・・

 

 

ウェイティングリスト(WL)とは

インドの列車はすぐ予約が埋まってしまいますが、キャンセルも大量に出ます。

そういった背景からか、チケットはキャンセル待ちの状態でも予約購入することができます。

そしてキャンセル待ちの状態でチケットを購入したときには、座席番号が割り当てられず、ウェイティングリスト(WL=Waiting List)に入ります。

 

WL10

 

みたいに。

これだとキャンセル10人待ちの状態。

WL数字は、乗車日が近づいてくるとだんだんと繰り上がり、うまくいけば車両・座席番号が確定(CNF=Confirm)します。

そして乗車日の時点でWLのままだと、列車に乗ることはできません。

また、さらに厳密にいうとWLとCNFの間にはRACというステータスがあり、これは列車には乗れるけど、座席が確定していない状況です。

乗り込んだ後に車掌さんが空いている座席を手配してくれます。

 

この、CNF>RAC>WLという予約状況のステータスを、PNRステータスといいます。

インドの鉄道に乗るときは、PNRステータスの内容をきちんと把握しておきましょう。

 

なお、僕なんかは、

この路線でこの待ち人数なら当日までに座席確定するだろう!

とかいってWLのチケットも買うことがありますが、失敗するリスクもあるため、慣れないうちはWLのチケットは買わない方が無難です。

(一度僕も失敗しました。)

 

 

それでは実際のチケットの購入方法を窓口別に見てみましょう。

 

2.駅の窓口で購入

当日なら駅構内のチケット売り場、〜前日までの予約なら予約窓口に行ってください。

予約オフィスは駅とは別の建物にあることが多く、ややこしいので注意です。

分からなければ、駅にあるEnquiryという総合窓口で聞けばどこでチケットを買えばよいか教えてくれます。

 

また、普通に窓口に行くと、列なんて無視した大勢のインド人が殺到していて殺伐とした雰囲気が漂っており、びびってしまうかもしれません。

そんなツーリストのために、大きめの駅には外国人専用予約窓口というのが設けられているので有効に活用しましょう。

この窓口では、外国人枠を利用し、一般のインド人枠が埋まってしまっていてもチケットを購入することができます。

一般的にぶっきらぼうでやる気がないインドの駅員も、外国人窓口の方々は比較的丁寧でフレンドリーです。

 

ニューデリー駅の外国人専用予約窓口。

駅構内の2階にあり、毎日24時間営業しているので便利です。

 

ここはいつもかなり混んでます。

ニューデリーからインドに入った方は、ここで先の列車の予約までしてしまうと結構楽かもしれません。

 

ムンバイCST駅の外国人専用予約窓口。

駅とは別の建物にありますが、こういう方が一般的だったりします。

ニューデリー駅以外は、たいてい、祝日は昼過ぎの14:00には閉まってしまうところが多いです。

 

駅でチケットを購入する際は、このような申込用紙に必要事項を記入して窓口に提出します。

  • 列車番号・名前
  • 乗車駅・降車駅
  • 乗車日
  • 希望する座席クラスとシートの種類

を事前に決めておきましょう。

 

3.ネットで購入

ニューデリーのように宿から駅までが近ければ良いですが、そうじゃない場合にはチケットを買う作業だけで1日が潰れるなんてこともよくあります。

そんなときに、ネットからチケットを購入することができればとても便利。

実際、現地のインド人の大半もネットからチケットを予約購入しているようです。

ただし、外国人がインドの列車チケットを購入する場合、原則CleartripというWebサイトに限定されます。

※インド国鉄のサイトから購入する場合、インド国外で発行されたクレジットカードははじかれます。

 

Cleartripの使い方

まずはWebサイトにアクセスして、アカウント登録を行います。

スマホの場合は、アプリをインストールしてください。

 

この画面はPCの場合。

右上のYour tripsのところから、Registerの画面へ進むことができます。

 

Facebookのアカウントを転用することもできます。

 

アカウント作成時に入力する内容は、名前やメールアドレス、電話番号、パスワートなど簡単なものです。

 

登録完了したらCleartripにログインしていることを確認の上、Trainsメニューから列車を検索します。

 

するとこんな画面が出てきます。

IRCTC(インド国鉄)のWebサイトのアカウントが登録済であればここで入力しますが、ない場合は画面下部のClick HereからIRCTCの画面に飛ぶことができます。

 

IRCTCのWebサイトはさすが役所、分かりづらいし入力項目も多いですが、頑張って登録しましょう。

なお、ここでひっかかるのが、入力必須になっているインドの携帯番号です。

SIMカードを持っていれば割り当てられている10桁の番号を入力します。

 

実は、IRCTCのアカウントは、ここで登録した後に携帯のSMSとEメールアドレスに送られてくる認証番号をサイト上で入力しないと、有効化されないのです。

 

もしインドの携帯番号が無ければ、上記のように、とりあえず9から始まる適当な10桁の携帯番号を登録しておき、後でcare@irctc.co.in宛てに、Eメールでパスポートの画像を添付して認証番号を送ってもらうよう依頼すると、Eメールアドレス宛てに認証番号が送られてくるようです。

僕はSIMカードを持っていたのでこの作業はやってないですが、全然返信が来なかったりと面倒らしいです。

 

登録が完了すると、外国人は後でパスポートの画像をメールで送るよう言われますが、僕は別にこれやらなくても問題ありませんでした。

 

CleartripとIRCTCのアカウントが登録できたら、あとはCleartrip側から列車を検索してチケットを予約・購入します。

Cleartripは非常に分かりやすいので、使い方に迷うことはほとんど無いと思います。

 

これ見る限り、ログインユーザー以外の人の分も買えるみたいです。

支払いはクレジットカードを利用することができます。

 

なお、決済するときに、IRCTCのサイトにログインした状態にしておく必要があります。

これをしていないとエラーになります。

その後、登録メールアドレス宛てにCleartripとIRCTCからEチケットが送られてくれば購入成功です。

列車でチケット確認される際には、スマホやタブレットの画像を見せれば O.K.です。

 

 

ただし、ネットで購入する場合、チケットはあくまで一般枠となります。

買いたい列車の座席が埋まってしまっている場合には、自分で駅に行って外個人枠やTatkalで席を確保する必要があります。

 

4.列車の予約状況を調べる

CleartripやIRCTCのサイト・アプリで列車の予約状況を簡単に調べることができます。

ただし、あくまで一般枠での予約状況になります。

そこで、参考までにですが、etrainというサイトを使うと、外国人枠や緊急枠(Tatkal)の空き状況を調べることができるので、知っておくと便利です。

 

左上の列車検索のメニューからTakalや Foreign Touristの枠を選択できます。

 

5.列車の運行状況やPNRステータスを確認する

CleartripやIRCTCのサイト、アプリから、列車の運行状況やPNRステータスを簡単に調べることができます。

 

これはIRCTCのスマホ用アプリ。

Webサイトよりかはだいぶ使いやすいです。

 

列車番号と乗車駅を入力すれば、遅延情報などが閲覧できます。

 

こっちは PNRステータス。

座席番号が確定しているのでCNFの状態です。

WLでチケットを購入した場合には、これで細めにステータスを確認できます。

 

 

6.いざ鉄道に乗ってみよう

乗車日時になったら駅に向かいますが、ここはインド。

日本のように時間どおりに列車が来るとは限りません。

特に北インドなんかでは、5〜10時間の遅延なんて当たり前。

前述したアプリなんかで、列車の遅延状況を確認してから駅へ向かわないと、ホームで雑魚寝しているインド人に混じって延々と列車を待つなんてことになりますので注意してください。

 

そして駅構内に入ったら電光掲示板等でどのホームに乗車する列車が入ってくるのか確認します。

よく分からなければ駅員に聞きましょう。

その辺のインド人に聞くと適当な答えが返ってくるので(悪気は無いんですが・・・)、あまりおすすめできません。

 

無事列車が来たらチケットに記載された番号の車両に乗り込みます。

うっかり別のクラスの車両に乗り込むと車内で移動できなくなるので間違えないようにしてください。

 

始発駅だとこんな感じで乗車ドアの前に座席表が貼ってあって自分の名前が書かれていますので確認しましょう。

 

 

さて、最後に列車の中の座席がどんな感じなのか実際の画像を用いて解説します。

ここでは、おそらくバックパッカーが一番使うであろうSLクラス(エアコン無し寝台)を前提に説明します。

僕もインドで鉄道に乗った際には、大半がSLでした。

SLは1コンパートメントに3段ベッドが2つ、通路側には2段ベッドという構造になっています。

 

一番上段(Upper)のベッド。

 

日中、真ん中(Middle)のベッドは折りたたまれていて、一番下( Lower)のベッドにみんなで座るような形になっています。

 

通路側の上段(Side Upper)と下段(Side Lower)。

 

おすすめはUpperかSide Upperです。

インドの列車は常に混雑しているので、下段の席だと座るスペースが狭く、落ち着けないからです。

(Middleだと夜中しか寝ることができない。)

また、チケット無しで乗り込んで来る人もたくさんいるので、気づいたら自分の席が無いなんてこともよくあることです。

一方、Upperのベッドであれば、自分だけの空間になるので、乗車中ずっと寝っ転がっていることができます。

 

 

狭いですけどね。

ベッドに座るときは首を曲げる必要があります。

身長170cmくらいの僕が寝ると足が少しはみ出ます。

 

僕の場合、メインバックなどの大きい荷物は、座席下の収納スペースに突っ込み、パックセーフで包んだ上でワイヤーロックで固定してました。

盗難もまあまああるらしいので、こういう感じにしておけば、目を離してもそれなりに安全です。

列車に乗り込んだら、他のインド人にスペースをとられる前に、鬼のような形相で座席の下に荷物を突っ込んでました。

 

貴重品やサブバックはベッドに置いて、枕代わりにしていました。

列車に乗り込む際に、荷物整理をしておくとスムーズに乗車できます。

 

他にも、スリーパーの1ランク上のエアコン付き3等寝台(3A)も同じような構造です。

3Aの場合は、シーツやブランケットが配布されます。

 

 

 

以上、ざっくりまとめてみましたが、乗りこなすのが大変といわれるインドの長距離列車も、このようにチケットの押さえ方やスムーズな列車の乗り方を心得ておけば怖くありません。

特にネットでチケットを購入できるようにしておくとかなり旅がしやすくなるので、できればインド入国前後辺りのタイミングでアカウントをつくっておくと良いかもしれません。